Media 170515
月間情報誌 Wendy 全国版 (2017.05.15 記事)
おおらかで、ちょっぴりゆるくて、愛らしい
“緑色のパリ”
写真作家
田中 淳 たなか じゅん (49)
パリへ初めて訪れたのは1995年。華の都と呼ばれる世界屈指の観光都市、エッフェル塔や凱旋門がそこにある、まさに憧れの街への訪問だった。
到着駅から宿泊先までのバス移動。車窓に広がる景色に興奮した。石造りの建物が整然と並び、背の高い並木の葉が陽光と戯れサワサワ揺れている。赤、黄、青とオーニングを広げる瀟洒なカフェ。給仕人がせわしく行き交うテラス席では、真っ黒なサングラスをしたオシャレな男女が寛ぎながら言葉を交わし、まだ日が高いというのにワイングラスをかたむけている。
パリの街は「美しく」「オシャレ」で「華やか」な、テレビや雑誌などを見て膨らませてきたヨーロッパの街のイメージそのものだった。
■「犬の落とし物」があちこちに
翌朝、散歩しようと宿を出てギョッとした。はりきって一歩を踏み出そうとしている僕の目の前に、大きな「犬の落とし物」が転がっている。通りを見渡せばそのシルエットは一つではない。住宅の荘厳な扉の前、可愛らしいブティックの・・・ <続きを読む ⇒ Wendy-Net へ>