やっと梅雨が明けましたね。
僕の住んでいる辺りでも、夏らしい 元気な いい雲が出ています。
そこで今回は、スカッと夏っぽい写真を ご紹介しましょう。
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Méneham(Kerlouan)/Bretagne/FRANCE
フランス西部の町 ブレスト(Brest)からロスコフ(Roscoff)へと車で向かう行程を考えていた際、どこか面白そうなところは無いかなぁと、地図を眺めていた。
最短距離となる内陸を通るルートは 早く行くことができ便利。
しかし、それでは面白くない。「ちょっと寄り道(道草)を・・・」という、いつもの癖がでてしまい、ブレストからプルゲルノー(Plouguerneau)まで一気に北上し、そこから海沿いを通ってロスコフまで行ってみることにした。
プルゲルノーの町で しばしの休憩タイムをとったのだが、こんな小さな町にも驚くほど立派な教会があり、ブルターニュの信仰の深さを改めて感じた。
そこから先の 海沿いの道は退屈なところが多かった。
地図で見れば、道は海のすぐ際を走っていて、「きっと眺めが良いはず」と思っていた辺りも、実際の海岸線は遥か彼方にあるようで、車はただの湿地帯や草原地帯を進むことになる。
潮の干満差が激しいこのあたりは、地図上でその景色を想像するのが難しい。そう感じるドライビングとなった。
しかし、ずぅーっとそんな調子というわけでもない。
ところどころでビックリするくらい美しく青い海が、手つかずのまま迎えてくれるのだ。
突然現れた水平線
車を停め 重いドアを押し開ける
巻き上げられる潮の香り
延々と続く浜辺に 延々と打ち寄せる波
今 ここに 私以外 誰もいない
辺り一帯 小さな白い花
ぶるぶる ぶるぶる 震えている
はて? いったいここは どこなのだ
いったい今は いつなのだ
・・・なんだか不思議な錯覚に陥る。
海沿いに突如現れた不思議な場所
そうこうしながら東へ進んで行くうち、たくさんの人がいる場所に出た。
海沿いにあるメネアムという村だ。
この写真の左上部に、冒頭写真の巨岩と建物が写っています。
砂で覆われた小さな駐車場に車を停め、巨岩の転がる海沿いを歩く。
エメラルドに輝く海を眺めていると、どこからともなく1匹の犬が現れた。
クリクリの目をした、とても可愛らしいコだ。
「あらアンタ、どこから来たの?」
犬は僕に愛想を振りまきながら 人気のない岩の隙間を潜り抜けてゆく。あとを追う僕。
しばらく行くと、海に突き出た大きな岩に 並んで腰かけ 海を眺める人たちがいた。
僕と同世代(40~50代)らしき ご夫婦と、おそらくその娘さんの3人。
犬は彼らのもとへ。
犬が戻って来たことで、彼らは帰り支度をはじめた。しばらくここでピクニックをしていたという。
「このコに連れられて来てしまいました。いい場所ですね、ここ」
「そうでしょ。涼しくってね。静かだし海もキレイ」
「可愛らしいワンちゃんですね。名前は何て?」
「キャラメルっていうの。14歳のお爺ちゃん犬よ」
キャラメルお爺ちゃんは 足取り軽く 飼い主さんのあとについて去ってゆく。
僕も、陸地側へと移動する。
しばらく進むと、目の前に とても不思議な建物が現れた。
大きな岩に挟まれた石造りの家。
雰囲気的には祈りの場所。きっと神聖な場所なのだろう。
そう思って立ち寄ってみたが、中は伽藍洞。それはかつて「見張り小屋」として使われていた建物らしい。
神聖な場所というのは 私の勝手な思い込みだった。それでも、建物自体はとても面白く魅力的。
周りの巨岩には裏側から上ることもでき、子供でなくとも上ってみたくなる。
この場所が 村の中心。
そして現在、村に住人はいない。
近くには、かつて村民がいたころの暮らしを紹介する博物館があり、野外ギャラリーがあり、コテージやレストランもある。
暮らす人はいないが、村は今、人気のリゾート地となっている。
住む人が0人になってしまったというのは、集落として 寂しい。
しかし、この不思議な建物と眼前に広がる美しい海が、今でもたくさんの人々を呼び寄せている。
皆さま、Covid-19 の影響で不安や不自由が多いと思いますが、どうぞお気をつけて、できる範囲で よい夏をお過ごしください。