Palmanova/Friuli-Venezia Giulia/ITALIA
昨年秋に掲載した記事で、地図上で見ると「雪の結晶」のように見える「正6角形」の町、グランミケーレ(Grammichele)について書いた。
今回は、更に角数の多い、外形が「正9角形」であり「星の形」にもなっている「パルマノーヴァ」の町について記そうと思う。
訪れたのは2015年の春。
ヴェネツィア(Venezia)から スロヴェニア共和国(Slovenija)へ 車で向かおうと考えていた折、どこか途中に面白そうな町はないかなぁ・・・と、地図を眺めていて目に留まったのがこの町だった。
地図を見ながら、またもや その形状に魅了され、例によって「何だこれ。面白そう。行ってみたい‼」となったのだ。
グランミケーレを訪れたときに、同じように高ぶった気持ちが、町に入って萎えてしまったことなど、10年近い時を経て、すっかり忘れてしまっていた。
星の形をした 平城(ひらじろ)のよう
アウトストラーダ(Autostrada/高速道路)を降り、案内看板に従って、木々や家々が並ぶ それこそ普通の道を北上していると、フッと視界が開けた。
一瞬、だだっ広い草原地帯に出たように思うが、そこに「土塁」や「堀」の跡が見てとれる。
日本国内を旅したとき、「昔ここに砦があった」などの案内があり、平地にある小さな城跡なるものを観ることがあるが、規模の違いこそあれ、まさにそれと似たような雰囲気。
「なるほど、こんな感じか~」と、そのまま 真っ直ぐ進んで行くと、今度は先ほどより「大きく高い土塁」と「広く深い堀」が目の前に迫ってくる。
町の入り口にあたる 門が はっきり見える位置まで来ると、先ほど「砦」と例えていたその奥に、更に大きな「城」が控えていたことがわかる。
「城」と言ったが、実際には「要塞都市」である。
門の外に、複数の防衛線が引かれており、それが、ここに至るまで目にした土塁や堀だ。
土塁や堀を辿ってみれば、この場で見る分にはわからないが、おそらく地図で見た 幾重かの「星の形」になるのだろう。
門をくぐると やはり そこは普通の街
町の中心「グランデ広場(Piazza Grande)」に置かれたカラフルな鳥のオブジェ
グランミケーレを訪れた際も経験したが、町の中は いたって普通の 現代の街並みだ。
チラホラと観光客が訪れているようだし、建物もきれいで 寂びれた感じはない。
それにこの期間は、そこここに 鳥や犬などの カラフルな動物のオブジェが置かれ、何某かのアート・イベントが催されているようだった。
町の中心には、正六角形の「グランデ広場(Piazza Grande)」があり、その周りを ドゥオーモや市庁舎、カフェやお店、郵便局などが取り囲んでいる。
町の外郭が9角形なのに、中心にある広場が6角形という 町の造りも面白い。
広場はかなり広く、祭りやイベントの開催場所としては もってこいだろう。
移動遊園地やサーカスなどを招致するにも、事欠かない大きさだ。
ただ、町の入口である「門」が狭いので、大きな機材の運び込みが難しいかもしれないが・・・。
グランデ広場からのびる道の先に、アクイレイア門(Porta Aquileia)が見える。
グランデ広場からは 道が放射状に 6本伸びており、そのうちの3本が 町の外に出る門へと繋がっている。
南に アクイレイア門(Porta Aquileia)。北西に ウーディネ門(Porta Udine)。そして、北東に チヴィダーレ門(Porta
Cividale)と、それぞれの門の名は、その先にある町の名前が付けられている。
これらの門や城壁は、この地における要塞として外敵の侵略を防ぐため、かつてのヴェネツィア共和国によって、15世紀から17世紀にかけて 造られたという。
歴史上、戦争によって この場所が 激しい攻撃にさらされた経緯があるかどうかは知らないが、間口の狭い門の姿と 周辺の土塁や堀の跡を眺めていると、目の前にある
今の風景がとても長閑なだけに、どうしても 重く悲惨な「戦い」のイメージが 逆に 浮かんでしまう。
何のためか 知らぬ
凄まじい戦闘
人 一人一人の「死」
知っているだろう
後に 平和が訪れたとしても
彼らにはもう 遅いってことを