差し上げたいもの ―― 5月1日の風習

5月1日、大切な人にスズランを贈る。フランス

随分前。フランス、オーヴェルニュ地方の ル・ピュイ=アン=ヴレ(Le Puy-en-Velay)を訪ねた時のこと。

隣町ポリニャック(Polignac)のシャンブル・ドット(民宿)に滞在し、クレルモン=フェラン(Clermont-Ferrand)から来たというカップルと知り合った。

ポリニャックを発つ日、彼らとは別々に出発したので、もう会うこともないだろうと思っていたら、城跡見学を終えたあと、車へと戻った 町の駐車場で、たまたま再会した。

「これからどこへ行くの?(次の滞在地は?)」と訊かれたので「クレルモン=フェラン」と応えると、
「じゃ、明日の夜、どこか美味しいお店で食事でもしようか」「いいねえ」となり、電話番号を交換した。

翌日の午後、近郊の町リオン(Riom)などを回って クレルモン=フェランの宿に戻った際、携帯電話に着信があるのに気がついた。
昨日 教えてもらった番号だ。かけてみる。

すぐに彼が出た。
僕:「お仕事中にスミマセン」。彼は、クレルモン=フェランの ミシュラン(Michelin)本社に勤めていた。当時 僕は、横浜(Yokohama)に住んでいたので、シャンブル・ドットで一緒に食事をしたとき、タイヤの話でちょっとだけ盛り上がっていた。

彼:「大丈夫だよ。今夜のことだけど、もし良ければ、レストランじゃなくて、彼女の家でゴハン食べない? 迎えに行くからさ」。そんな内容だった。

もちろんOKし、夜を待った。

その後の、彼らとの夕食の話をつらつら書いてしまうと長~くなってしまうので割愛するが、
彼女の家で楽しい時間を過ごしたあと、帰り際、翌日が5月1日だということで、可愛らしいスズラン(muguet)をいただいた。

おそらく、彼女の家の庭に自生していたものだ。
数時間前、クレルモン=フェラン郊外にある 彼女の家に到着したおり、庭を見せてもらっていた。スズランには気がつかなかったが、自然いっぱいの庭からは、豊かな緑が目に、せせらぎの音が耳に、日常のしがらみを溶かすような心地よさを届けてくれていた。

(フランスでは、5月1日に 大切な人へ その人の幸せを願って、スズランを送る風習があります。)

掲載写真に写っているのは 実際にいただいたもの。
宿に帰って コップに活け、翌朝(5/1に)撮影した。

この文章をお読みくださっている今は、5月1日ではないかもしれない。それに、実物ではなく写真のスズランですけれど、どうぞ 皆さんにも・・・

幸せが 訪れますように!

2021年05月01日