古い映画の別れの言葉みたいに
去り際にキザな光を残す
やるなぁ 太陽
数年前のこと。
フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア(Friuli-Venezia Giulia)州のあたりを何日間か車でグルグル回ったのち、ヴェネツイァ・マルコ・ポーロ空港(Aeroporto
Marco Polo di Venezia)に到着する妻を迎えに行き、その日の宿をどの町にとろうかと、旅の計画を考えていた。
もちろんヴェネツィアが近くてベストだが、その後の旅程を考慮すると、違う町が良い。
また、町なかではなく、片田舎にポツンと建っているような素敵な宿もたくさんあるのだが、今回は空港から車で1時間以内で行けそうで、しばらく滞在しても楽しそうな町を見つけたかった。
候補として挙がった町は3つ。
日本でも有名な会社、「ベネトン」や「デロンギ」の本社がある、水の街トレヴィーゾ(Treviso)。
往時の城壁が今も残るカステルフランコ・ヴェネト(Casrelfranco Veneto)。
世界遺産の植物園(Orto Botanico)があるなど見どころの多いパドヴァ(Padova)。
そしてこの旅では、3つの中で最も大きな町であるパドヴァを選ぶことにした。
Piazza del Santo
実は恥ずかしながら、私はこの旅を計画する段階まで、パドヴァという町を知らなかった。
ヨーロッパ最古といわれる大学があったり、イタリアの重要な巡礼地であるサン・タントニオ聖堂(Basilica di S.Antonio)があるなど、世界中から多くの人が訪れる町ということを知り、一気に興味が湧いたのだ。
光を帯びたエクレアが静かに浮かび上がる
見どころの多い パドヴァの街の様子を ちょいと紹介させていただくと・・・、
まず 町の中心に、お菓子のエクレアを巨大にしたような建造物ラジョーネ宮(Palazzo della Ragione)がある。
そして、その建物の南北に、ちょうどそのエクレアを挟み込むように広場が広がっている。
北にフルッティ広場(Piazza dei Frutti)、南にエルベ広場(Piazza delle Erbe)といった具合だ。
昼間の広場は市場が開かれ、とても賑わっており、その活気ある様子は見ているだけでも楽しい。
ただ、もし町で宿泊するなら、日が暮れてから行ってみるのもいい。
人影が消え、閑散とした広場に、光を蓄えたラジョーネ宮が、静かに浮かび上がり大変美しい。
町に見どころが多くとも、全てを見ようと躍起になる必要はない。
多くのイタリアの町に言えることだが、町そのものが、さながら高貴な美術館のようなものなのだ。
街を歩き、外から建物を眺めるだけでも十分楽める。
Palazzo della Ragione