プツリ途中で切れていた「サント=マリー=ドゥ=ラ=メール」への道 ① 【フランス旅】

エグ=モルト から サント=マリー=ドゥ=ラ=メール へ向かう県道<D85>

 

宿をとっていた エグ=モルト(Aigues-Mortes)の町を出発し、サント=マリー=ドゥ=ラ=メールへ向かうため、車で県道D85を南下していた。

道は幾つかあるのだが、この道が一番近そうだ ――。そう思いながら、対向車の来ない湿地帯を気持ちよく飛ばしていた。

あと数キロで着くんじゃないかなぁ。。。
まだ街の気配はないものの、走行時間を鑑みて、そんなことを考えていると、不思議な標識に出くわした。(冒頭写真)

青い標識は、一瞬、口ひげをたくわえ 帽子を被ったオジサンの顔か クワガタのように見えたのだが、よく見ればそれは船である。
そして下の赤い警告標識は、あな恐ろしや 自動車が水面に転落する図である。

かつて、ペイ・ドゥ・ラ・ロワール(Pays de la Loire)にある、ノワールムーティエ島(Île de Noirmoutier)を訪れた際、車両水没を描いた標識を見たことがあるが、あれと同じくらい恐ろしい警告だ。

 

突然の渋滞。その原因は・・・


標識の横を通り過ぎると、ほどなく渋滞が始まった。と言うより、車は全く前に進まなくなった。

状況が呑み込めず しばらく待ってみるが、車列は一向に進む気配を見せない。
そのうち 一台の車から男性が降り、歩いて前方の様子を見に行った。

しびれを切らせた 別の人々が それを見て車を降り、前方を伺っている。
そして戻ってきた男性に、この先の様子を聞いている。

彼から話を聞いた人たちは、それぞれに色々な表情を全身に浮かべ パラパラと車に戻る。
私の車(写真右)の前方に停まっている車を運転していたムッスュが、親切にも私に状況を説明しに来てくれた。

「この先に川がある。渡るには船に乗る必要がある。ただ、船がなぁ・・・」
ニコニコ笑いながら言う。

船に乗る必要がある、というところまでは解ったのだが、その後の説明について、私は理解できなかった。

ということで私も車を降り、歩いて渋滞の先頭の様子を見に行ってみることにした。
車列が進む気配はないし、しばらく車を空っぽにしても 問題なさそうだ。

 

意図せず出来てしまった 空き時間の過ごし方

並んだ車に乗っている人たちの姿を見ながら前方へと向かう。

彼らの様子を見て、ずいぶん待たされることになるだろう、というのが よくわかった。

シートを倒して眠る人、読書を始める人、同乗者全員で車を降り 車にもたれながら寛ぐ人たち、洗車を始める人がいたのには、さすがに驚いた。

渋滞の先頭は確かに川だった。そして、そこには遮断機と赤信号があった。(↓写真)


車を離れ ピクニックを始めた家族連れが 写真右隅に写っている

 

信号の先、遮断機の横に、何やら看板がある。(↓写真)
看板の近くでは、車から降りてきた家族連れがピクニックをしている。(↑写真)

「渋滞は嫌なもの」と、そんな概念が 私の頭にこびりついていたのだが、
意図せず出来てしまった空き時間を、皆それぞれが、好きなように、のんびり、自由に過ごしている姿が、なんだか「いいな」と思った。 < つづく >

 

 

 

2020年09月24日